★★気になるニュース★★
インターネット・エクスプローラー完全終了(22/06/19)
マイクロソフト社は、Windows用Webブラウザ「Internet Explorer (IE)」のサポートを、6月16日をもって(ほぼ)完全に終了した。Windowsのアップデートが行われている場合、IEを起動しようとしても、Microsoft Edge が立ち上がるようになる。
IEは、WIndows95で採用されたブラウザ。当初はNetscapeの後塵を拝していたが、Windows98にプリインストールされてから利用者が増え、一時期は圧倒的なシェアを誇った。しかし、Chromeがリリースされると、アクセス速度など利便性の差から人気を奪われ、2012年には(デスクトップマシンでの)世界シェアが逆転された。
2022年5月時点でのブラウザ世界シェア(StatCounterによる調査)は、Chrome 66.64%、Edge 10.07%、Safari 9.62%となっており、以下、Firefox、Opera、IEと続く。
【補記】筆者(吉田)は、50年近く前からプログラミングを行い、電話回線でネットが利用可能になるとキーボードから「Login」などと打ち込んでアクセスした世代なので、情報技術の歴史には一家言ある。最初に使ったブラウザはMosaicで、テキストと画像が同じ画面に表示されたのを見て感動した。ただし、スピードは我慢できないほど遅く、Netscapeが登場すると速攻で乗り換えた。IEは、Windows95にMicrosoft Plus!をインストールすることで使用できたが、初期のバージョンは機能がお粗末で魅力がなかった。
90年代末頃から、IEとNetscapeの間でいわゆるブラウザ戦争が起きる。マイクロソフト社は、セキュリティよりも利便性を優先する戦略を採用、NetscapeがHTML文法を厳格に適用したのに対して、IEは少々文法ミスがあってもきれいに表示できるという(ある意味、困った)特徴があった。また、ネットのソフト資産をシームレスに利用できることが売りのActive XをIEに組み込み、企業が独自に開発した業務用ソフトをユーザがネット経由で使えるようにしたが、当然のごとくサイバー攻撃の危険性が大幅に増した。メールリスト上にカーソルを移動するだけでスクリプトが勝手に実行されるという危ない機能をOutlookに実装し、ウィルス拡散を招いたのもこの頃である。
私は、必要機能が欠け不必要機能満載のIEが嫌いで、使いやすくて安全なブラウザを探し続けた。一時期は、自作のスクリプトでパスワードを自動入力できるといった機能が気に入って、和製ブラウザSleipnirを使っていた。その後、firefoxがリリースされるとマイブラウザとして採用、現在に至っている。firefoxは、カスタマイズの自由度が高く、セキュリティがしっかりしているのが特徴。ただし、この特徴が裏目に出て、役所や金融機関など複雑な双方向通信が必要なサイトで、トラッキングがブロックされて正常に動かないケースが多発した。そのせいかfirefoxのシェアは低下を続け、世間的には、「使いやすいがセキュリティはちょっと」というChromeが圧倒的人気を獲得している。私個人としては、かなり残念な状況だ。セキュリティの観点から、OS、ブラウザ、検索サイトはすべて別会社のものを使用するのが好ましいと考えるのだが。
★★Q & A★★
質問は、「図のような光学系で実験を行った際にどのような結果が得られるか?」です。遅延選択量子消しゴム実験などに用いられるメタホウ酸バリウム結晶(BBO)と、Wheelerの遅延選択実験の光学系を組み合わせたような実験装置となっています。
このように装置を組むと、強めあうように光路を設定したセンサーでのみ光子2個を両側で交互に、あるいは光子1個ずつを両側で同時に(?)検出するはずです。一方で、弱めあうように光路を設定したセンサーでは一切光子を検出しないはずです。
ここで下側のビームスプリッタを取り外すとどうなるでしょう?
途中のビームスプリッタで透過/反射する確率は50%なので、光子2個が下のセンサー群に両方とも来る/両方とも来ないことも、どちらか片方しか来ないこともあるでしょう。しかし、問題は光子の片方だけが来て検出された場合です。この場合、波束の収縮によって一瞬で干渉すべき相方が右のセンサー郡の光路上から消滅するため、弱めあって検出されなかったセンサーで50%の確率で光子が検出されるようになるのではないでしょうか?
すなわち、下のセンサー群のビームスプリッタ有/無によって右のセンサー群の光子が検出される/されないを制御します。これをデジタル信号である0/1に対応させることで、超光速通信が可能なのではないかと考えました。
自分なりに類似のアイディア・実験がないかと調べては見たのですがそれらしいものは見つけることができませんでした。
唯一
こちらの質問/回答が今回の内容に近いと思いました。ここで参考本として挙げられていた「量子のからみあう宇宙」も閲覧してみたのですが、先生のwebページに掲載されていた光学系とだいぶ違い本実験装置がどのような結果となるかはっきりしたことは分かりませんでした。【現代物理】
★★新著の紹介★★
「量子で読み解く生命・宇宙・時間」
(→
幻冬舎の該当ページへ/
Amazonの該当ページへ)
吉 田 伸 夫 著
幻冬舎(新書)
定価:900円+税
【出版社からの内容紹介】
生命は活動し、物体は形を持ち、時間は流れる。物質や光の最小単位・量子は、これらのあらゆる現象と関わりを持つ。だが量子には謎が多く、運動方程式など、私たちが住むマクロ(巨視的)な世界の物理法則が通じない。その正体すら判別できず、教科書でも「粒子であり波でもある」という矛盾を孕む説明がなされる。本書では「粒子ではなく波である」という結論から出発し、量子を巡る事象の解明に挑む。細胞の修復、バラバラに砕けない金属、枝分かれしない歴史……こうした世界の秩序は量子が創っていた――。日常の見え方が変わる一冊。
※内容の一部が幻冬舎のWebページ(幻冬舎plus)で紹介されています。
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試し読みページ
※同じページが『東洋経済オンライン』にも掲載されました。
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「私たちの細胞が傷ついても自然治癒するカラクリ」
★★吉田の近況★★
- 2022年3月4日に朝日カルチャーセンター新宿教室で「現代物理学でSFを解剖する」と題したZOOM講義を行いました。このとき使用した資料をアップロードします。
ZOOM講義「現代物理学でSFを解剖する」用資料(PDFファイル、1.80MB)
- 『東洋経済オンライン』に『量子で読み解く生命・宇宙・時間』の一部が掲載されました。(2022年02月18日)
→「私たちの細胞が傷ついても自然治癒するカラクリ」
- 拙著『量子で読み解く生命・宇宙・時間』の一部が、幻冬舎のWebページ(幻冬舎plus)で試し読み可能になりました。今回が第1回で、第4回まで続きます。(2022年02月11日)
→試し読みページ
- 2022年1月10日付け公明新聞に、カルロ・ロヴェッリ著『世界は「関係」でできている』(NHK出版)の書評を執筆しました。ほかの書評に比べて、少し辛口です。
- 講談社ブルーバックスのサイトに、「アインシュタインが「宇宙項」を付け加えた本当の理由とは?」を掲載しました(拙著『宇宙を統べる方程式』のPR記事です)。(2021年10月11日)
- 学士会発行の『學士會会報』第950号に、論考「物理現象としての「時の流れ」」を掲載しました。(2021年09月01日)
- 2021年5月21日、朝日カルチャーセンター新宿教室でZOOM講義第2弾となる「タイムパラドクスの物理」を開講しました。このときのスライド資料をアップロードしておきます。
ZOOM講義「タイムパラドクスの物理」用資料
- so-netのWebPageサービス終了に伴い、ページ全体を「scitech.raindrop.jp」に移転しました(2度目の移転ですが、今回も結構手間取りました)。so-netのサイトは、1月28日をもって閉鎖します。(2021年1月28日)
- 拙著『宇宙に「終わり」はあるのか』(講談社ブルーバックス)に全体のまとめとして収録した「2ページで語る宇宙全史」をネットで公開しました(2020年12月31日)。
→講談社のサイトで読めます(「「宇宙の全歴史を365日にたとえると「人類誕生」は大晦日の11時…は大間違い!」」)
- 2020年12月18日、朝日カルチャーセンター新宿教室で「時間の謎を解明する」と題したZOOM講義を行いました。このとき使用したスライド資料をアップロードしておきます(自前の図形ソフトで作ったオリジナルファイルをPDFに変換したところ、なぜかファイルサイズが巨大になってしまいました)。
ZOOM講義用資料(PDFファイル、13.8MB、重いので注意してください)
- ムック『談』no.117「因果論の戯れ」(水曜社、2020年3月1日発売)に、インタビュー記事「〈時間は存在しない〉なぜ、〈時の流れは存在しない〉に至ったか」が掲載されました。これは、昨年12月に行われたインタビューを採録したもので、私が日本語版解説を執筆したカルロ・ロヴェッリ著『時間は存在しない』(NHK出版)の解説が中心となっています。 (→Amazonの該当ページへ)
- 『時間はどこから来て、なぜ流れるのか?』の紹介記事を執筆しました。
→講談社のサイトで読めます(「時間のあり方」は、「金太郎飴・富士山・渦」の3つで説明できる」)
- 雑誌『本』(講談社)2020年2月号に、エッセイ「道元、スピノザ、アインシュタイン」が掲載されました。
→講談社のサイトで読めます(「鎌倉時代、禅僧・道元が「最新物理学の結論」にたどり着いていた!」)
- 2020年1月18日放送のFMヨコハマ「FUTURESCAPE」(DJ:小山薫堂、柳井麻希)に出演、新著『時間はどこから来て、なぜ流れるのか?』の内容を中心に話してきました。
- 2019年8月に出版されたカルロ・ロヴェッリ著『時間は存在しない』(NHK出版)に、「日本語版解説」を執筆しました。
- 2019年5月20日付け公明新聞に、ジョージ・マッサー著『宇宙の果てまで離れていても、つながっている』(インターシフト)の書評を執筆しました。
- 2018年6月9日に「NPO法人小さな天文学者の会」が主催する最前線宇宙講演会で、「宇宙に終わりはあるのか」という講演を行いました。
- 2017年6月15日にスルガ銀行d-laboで「宇宙の中の生命」というセミナーを行いました。そのレポートがスルガ銀行イベントレポートのページに掲載されています。
【告知】Q&Aコーナーで利用してきたメールデコードのCGIが使えなくなったため、当ホームページ内部から質問を受け付けられなくなりました。代わりにQ&Aの一部を掲載するブログを開設し、そのコメント機能を介して質問できるようにしました。以下のリンクからブログにアクセスしてください。
なお、ブログの仕様により、トップページからはコメントできないので、個々の質問/回答のページでのコメントとして質問をお送りください。すぐに表示はせず、いったん吉田が質問を受け取り回答を作成してから、新たな質問/回答として掲載します(様子を見て、方式を変更するかもしれません)。
また、「気になるニュース」を独立させたブログも開設しました。内容は、当ホームページと同じです。
【注意】本サイトは、プロバイダーの都合で「常時SSL化」に対応しておらず通信が暗号化されていません。このため、ブラウザで閲覧する際、「保護されていません」「安全ではありません」などの表示が出ることがあります。ただし、ページ内に広告はなく、トップページ上部のGoogle検索で個人情報を入力しない限り、セキュリティ上の問題はありません。
◆「閲読上の注意」と「制作者からの告知」は内容が古くなったので削除しました
(同じ著者による独立したページ)
©Nobuo YOSHIDA