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注と文献





【序論】


〔1〕観念論哲学の系譜をたどると、自然科学の哲学的解明を目的とした著作は決して稀ではなく、カッシ―ラーのように科学の認識批判を主要な研究テーマとした哲学者もいるが、こうした論述に共通しているのは、科学理論を所与の前提として既存の哲学的な諸概念と関連づける、あるいは、科学研究の方法論を論理学の見地から論じるといった手法であり、科学が新たな哲学的問題に直面した際の有効な処方を提出しているわけではない。例えば、カッシーラー:「実体概念と関数概念」(山本義隆訳、みすず書房、1979)における議論の進め方を参照。
〔2〕近代合理主益の超克を旗印とする思想家の数は膨大で、いちいち列挙することは困難である。こうした中には、例えば、合理主義的人文主義とも言えるいわゆる《構造主義》に対して反感を露にしたフランスのポストモダニズムの思想家(デリダ、ジラ―ルなど)や、科学的方法論への批判を展開した反分析主義的な思想家(ファイヤアーベントなど)が含まれよう。
〔3〕こうした傾向は、近年流行しているニューサイエンスの思想の一部に見て取ることができる。例えば、K.ウィルバー編:『空像としての世界』(井上忠・他訳、青土社、1983)参照。


【科学哲学は可能か】


〔1〕外山敬介:「視覚」/丸山直滋「聴覚」;いずれも『脳の科学 I』(中村嘉男/酒田英男編、朝倉書店、1983)に収録
〔2〕A.P.ルリヤ:『神経心理学の基礎』(保崎秀夫監修、鹿島晴雄訳、医学書院、1978)。ただし、ルリヤは、他の神経科学者よりも前頭葉の機能を過大評価している嫌いがある。
〔3〕N.ゲシュヴィンド:『高次脳機能の基礎』(河内十郎訳、新曜社、1984)102ページ
〔4〕酒田英夫:「認識の神経機構」;『脳の科学 II』(中村嘉男/酒田英男編、朝倉書店、1983)に収録
〔5〕H.エカアン/M.アルバード:『神経心理学』(安田一郎訳、青土社、1983)349ベージ
〔6〕E.フッサール:『論理学研究 I』(立松弘孝訳、みすず書房、1968)第4章
〔7〕D.S.バラモ:『言語の心理学』(村山久美子訳、誠信毒房、1982)第4章
〔8〕P.R.コーエン/E.A.ファイゲンバウム編:『人工知能ハンドブック第III巻』(田中幸吉/淵一博監訳、共立出版、1984)第XIII章
〔9〕この定理についての解説は、例えば、梅沢敏郎:『記号論理』(筑摩書房、1970)参照。本文の記述も、この参考書に準じている。
〔10〕オペレーティング・システムとは、アドレス空間の割り当てや制御フローの管理など、高次の情報の流れを管理する基本ソフトウェアのことである。より詳しくは、例えば、S.E.マド二ック/J.J.ドノバン:『オペレーティング・システム』(池田克夫訳、日本コンピューター協会、1976)参照。
〔11〕G.べイトソン:『精神と自然』(佐藤良明訳、思索社、1982)第IV章
〔12〕D.D.ホフマン:「錯視図形と視覚のしくみ」サイエンス、1984年2月号101ページ
〔13〕R.トム:『構造安定性と形態形成』(彌永昌吉/宇敷重広訳、岩波書店、1980)
〔14〕G.二コリス/I.プリゴジーヌ:『散逸構造』(小畠陽之助/相沢洋二訳、岩波書店、1980)
〔15〕柳田充弘:「バクテリオファージの形成」;日本生物物理学会編:『生命科学の基礎 2 自己組織化』(学会出版センター、1977)
〔16〕 I.M.ロアット:『免疫学要説』(新井俊彦訳、理工学社、1978)

©Nobuo YOSHIDA