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肯定の章
 〜《超科学》が《科学》に教えるもの〜



 前章の議論では、《超科学》的な主張の多くが、人間の思考における階層性を無視するなど、〈有効性〉を評価基準とする学問的な言説として正当化しがたい方法論を採用しており、学問的に見て価値がある内容とは認められなかった。しかし、筆者は、全ての《超科学》を否定し去る訳ではなく、そのいくつかは学問的な観点から見ても興味深い内容を蔵していると考える。この章では、そうした《超科学》の例として、まず中国の気功を取り上げ、その主張が《科学》に対して、何らかの貢献をすることができるか、特に、〈方法論的障壁〉を超克する契機となるかどうかを考察する。


©Nobuo YOSHIDA