科学と技術の諸相2026/02/21 更新
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★★気になるニュース★★

iPS再生医療の製品化に前進(26/02/21)

 iPS細胞を用いた再生医療の2製品に対して、厚生労働省が承認に向けて動き出した。今回、製品化が目指されるのは、心筋梗塞などの心臓病とパーキンソン病を対象とするもので、これ以外にも、糖尿病やガンに対するiPS再生医療製品が開発段階にある。
 iPS細胞は、さまざまな細胞に分化する能力を持つ多能性細胞で、2006年に山中伸弥がマウスの体細胞から作り出し、翌年にはヒトiPS細胞を作製した。すでに発見されていたES細胞が、患者以外のドナーから提供される受精卵を破壊して取り出すために、拒絶反応が回避できず、倫理的な問題も指摘される。これに対して、iPS細胞は、(可能ならば患者本人の)体細胞から作られるため、こうした問題が存在せず、再生医療の切り札と目された。
 損耗した組織に培養細胞を移植して甦らせるという再生医療は、前世紀から期待されていたものの、なかなか実用化できなかった。心筋梗塞などの治療法としては、心筋細胞を薄いシート状に培養して貼り付けるというやり方が、数十年前から研究されてきた。しかし、シート化する技術は開発され、マウスによる実験が好成績を挙げたものの、人間の心筋細胞を培養することには障害が多く、太股の筋芽細胞で代用したがうまくいかなかった。今回、iPS細胞を使うことで、ようやく人間の心筋細胞シートが製造できるようになったわけである。
 パーキンソン病は、黒質でドーパミンの分泌量が減少し身体の調節がうまくできなくなる病気。ドーパミンを分泌する神経細胞を移植する治療法が考案されたものの、神経細胞の入手が難しく、中絶胎児を利用する方法が提案されたこともあった。このケースでも、iPS細胞からドーパミン分泌細胞を作り出せれば、大きな前進となる。
 iPS細胞の利用については、安全性と有効性を確認することが難題となる。外部から遺伝子を挿入して分化能を復活させるという、かなり荒っぽい技術を使うため、ガン化などの異常が生じる危険性が払拭できない。また、動物実験で効き目があっても、人間ではうまくいかないケースが少なくない。
 再生医療は、「夢の医療」という側面が強調されすぎ、(特に美容医療分野で)安易な施術が行われることもある。また、細胞加工には専門家の手技が必要となることもあり、治療費がきわめて高額になりやすい。こうした問題点に配慮しながら、あまり性急に実用化を求めず、ゆっくり着実に臨床試験を繰り返すことが重要である。
(→以前に執筆した「気になるニュース」

★★市民講座を開講します★★

 今年4月から5月に掛けて、早稲田大学オープンカレッジ(中野校)において、「「日常の科学」と「科学の日常」」というタイトルで市民向けの講座を開講予定です。
 詳しくは、早稲田大学エクステンションセンターのページを参照してください(ただいま、受付準備中です)。

★★著書が紹介されました★★

YouTubeチャンネル「のもと物理愛」で、私の著書が紹介されました。 「場の量子論ざっくり理解(まずは入り口)」という動画で、入門書として が挙げられ、これらの内容に基づいて、場の量子論に関する基礎的概念が説明されています。
野本さんは、ほかにも量子論や相対論をわかりやすく解説する動画を多数アップしていますので、興味のある人は、チャンネルにアクセスしてみてください。

★★ラジオ出演のお知らせ★★

 ページ制作者・吉田が出演したラジオ番組

阿部亮のNGO世界一周!〜この世界を科学で眺めたら〜
 (5月6日(火・休日)16:30-17:30 ニッポン放送)

は、ニッポン放送PODCAST STATIONで聞くことができます。

 今年2月に出版された拙著『この世界を科学で眺めたら』をベースに、阿部亮さんと物理学から知性や文明の問題まで、自由に語り合います。

★★Q & A★★

質問 場の量子論を勉強している最中の者ですが、素朴な疑問があります。
 場の量子論を理解できたら 量子力学で出てくる言葉(波動関数、確率振幅など)は忘れていいものなのでしょうか? もっと言えば、歴史的な興味は別として 量子力学 を忘れていいものなのでしょうか?
 場の量子論の本を読んでいて、せっかく場の理論を勉強しているのに粒子という言葉が出てくることがあるので戸惑ってしまいます。【現代物理】

★★新著のお知らせ★★

 ページ制作者(吉田)の新著が刊行されました。今回は、一般の人でもすぐに読める科学エッセイ集です。
この世界を科学で眺めたら
『この世界を科学で眺めたら ―― 真理に近づくための必須エッセイ25』
  (→Amazonの該当ページへ
吉 田 伸 夫 著
技術評論社
2025年2月19日紙版発売
四六判/144ページ
定価1,760円(本体1,600円+税10%)
【この本の概要】
科学はとても人間的な営み。ただ,ちょっと敷居が高いだけ。あらためて科学で眺めてみたい,私たちの生活とこの世界。
本質を突いた解説でおなじみのサイエンスライターによる,身近な現象から宇宙の謎まであなたの住む世界の見え方ががらっと変わる,書き下ろし初エッセイ集。
【こんな方におすすめ】
科学には興味はあるものの,難しそうで敬遠しがちな人
世界の見方が変わるような,新しい発見をしたい人
日常生活やこの世界を科学的な視点で,俯瞰で眺めてみたい人

(→他の著書の紹介

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★★吉田の近況★★


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この世界についての仮説
(同じ著者による独立したページ)

©Nobuo YOSHIDA