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 問  題   解  答   解  説 

第1問

 図1のように、なめらかな水平面上をx 方向に滑ることができる質量M の台がある。台のzx 断面は一様で、上面は、最高点の高さが下面から測ってH のなだらかで摩擦のない斜面になっている。水平面を速度vx 軸の向きに動いてきた質量mmM )の小球が、斜面を上っていく運動に関して、次の設問に答えよ。ただし、小球は、運動中に水平面または斜面から離れることはない。重力加速度をg とする。


I. v がある値v 0以下のときは、小球は最高点を超えずに下面から最大h のところまで上った後、水平面に戻ってくる。

(1) 小球が高さh になったときの運動量保存則と力学的エネルギー保存則の式を書き、これを用いてh を求めよ。

(2) v 0を求めよ。


II. vとv 0の大小関係に注意しながら、小球が台から離れた後の小球の速度v' とv の関係をグラフで表せ。


III. 小球をぶつける前に、斜面上の高さh' の位置に小さくて軽い粘着テープを付けておいたところ、運動中に小球がこのテープにくっつき、それ以降は台と一体となって運動した。このときの台の速度を求めよ。また、小球がテープにくっつく際に失われた力学的エネルギーの大きさを求めよ。



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図1


第2問

 図2のように、なめらかな水平面上に、一端に1辺d の正方形のコイル(全抵抗値R 、質量m )が取り付けられたバネ(バネ定数k )が置かれている。他端は任意の位置に固定することができる。x >0の領域には、鉛直上向きに磁束密度B の一様な磁界が加えられている。以下の運動において、バネの軸と正方形コイルの2辺は、常にx 軸に平行に保たれているとする。コイルの右端のx 座標をX として、以下の設問に答えよ。ただし、コイルに流れる電流が作る磁界の影響は無視できるものとする。


  はじめに、バネが自然長のときにX =−Ñd になるようにバネの端を固定する。外力を加えてバネをd だけ押し縮めた状態で外力を除いたところ、コイルが運動を始めた。


I. 運動開始後、最初にX =0となったときのコイルの速度を求めよ。


II. X >0でコイルの速度がv (>0)のとき、コイルに流れる電流の大きさと向き(上から見て右回りか左回りか)、および、磁界からコイルに加わる力のx 成分を求めよ。


III. 十分に時間が経過した後、コイルがどのような運動をしているかを述べよ。また、このときまでにコイルに発生したジュール熱はいくらか。


  次に、バネが自然長になるときのX がある値X 0になるように固定位置を調節し、バネをd だけ押し縮めてからコイルを放して運動させた。


IV. 運動を始めてから十分に時間が経過する間にコイルに発生するジュール熱Q は、X 0に応じて変化する。QX 0の関係を表にまとめよ。

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図2


第3問

 図3のように、コックのついた細管でつながれた容器A(容積V 〔m2〕)とシリンダーBがある。容器壁やピストン、細管は断熱材で作られているが、Aには、熱を伝える素材でできたパイプが取り付けられており、ここに一定温度の液体を流すことによって、内部の気体をゆっくりと加熱・冷却することができる。Bには容積が V/2 〔m3〕になるところにストッパーが付けられており、それ以上はピストンが引き出せない。また、ピストンには、外部から一定の大気圧P 0〔N/m2〕が加わっている。

   コックを開いた状態で、この装置に1モルの単原子分子理想気体を詰め込み、パイプに絶対温度T 〔K〕の液体を流したところ、十分に時間が経過した後、Bのピストンが完全に押し込まれた状態で、気体は平衡状態に達した。これを状態(i)と呼ぶことにする。この状態から出発して、次のような一連の操作を行った。気体定数をR 〔J/mol・K〕として設問に答えよ。


I. 気体が状態(i)にあるとき、コックを閉じ、ピストンに外力を加えてストッパーの位置までゆっくりと引き出し、Bの内部に容積ÑV 〔m3〕の真空を作った。この過程で外力がした仕事W 1〔J〕を求めよ。


II. 次に、コックを閉じたままパイプに流す液体の温度を2T 〔K〕に変えたところ、十分に時間が経過した後に、気体は温度2T 〔K〕の平衡状態になった。これを状態(ii)と呼ぼう。(i)から(ii)への状態変化の過程で、気体が吸収した熱量Q 1〔J〕を求めよ。


III. 気体が状態(ii)になっているとき、コックを開いてBの内部へ気体を噴出させたところ、短時間で気体がA,B内に一様に拡がった。この直後の気体の温度は「2T より高い、2T 、2T より低い」のどれになるか。理由を付けて述べよ。


IV コックを開いてから十分に時間が経過したときの気体の状態を、状態(iii)と呼ぼう。このとき、ピストンをストッパーの位置に固定していた外力を取り除いたが、ピストンは動かなかった。ここで、パイプに流す液体の温度をT 〔K〕に戻して、内部の気体をゆっくりと冷却したところ、しばらくするとピストンが準静的に移動して奥まで押し込まれて停止し、さらに十分に時間を掛けると、気体が状態(i)に戻って平衡に達した。状態(iii)から(i)に至る過程で、気体に加えられた仕事W 2〔J〕と、気体が放出した熱量Q 2〔J〕を求めよ。


V こうした状態変化が実際に起きるためには、TP 0VR で表されるある範囲内になければならない。この範囲を求めよ。


VI (i)→(ii)→(iii)→(i)という状態変化は、1つのサイクル過程になっている。装置内部の気体に関して、1サイクルにわたる熱力学第1法則はどのような式で表されるか。また、装置周辺の大気も、装置との相互作用を通じて熱力学的な状態変化をしているが、大気に関する熱力学第1法則はどうなるか。いずれも、Q 1Q 2W 1W 2のうち必要なものを使った関係式として表せ。



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図3


©Nobuo YOSHIDA