前ページへ 概要へ 表紙へ

注と文献




〔l〕ロビンソンによるいわゆる超準解析である。超準解析の内容については、斎藤正彦:『超積と超準解析』(東京図書、1976)参照。
〔2〕L.ウィトゲンシュタイン:「数学の基礎」;『ウィトゲンシュタイン全集 第7巻』(中村秀吉。藤田晋吾訳、大修館、1976)に収録。
〔3〕ペアノの自然数論とは、「自然数」,「1」,「次の数」を無定義概念とし、次の5つの(日常語でパラフレーズした)公理によって体系を構成するものである:《1》1は自然数である;《2》ある自然数の次の数は一意的に定まる;《3》次の数が共通の自然数は互いに等しい;《4》1が次の数となる自然数は存在しない;《5》ある命題が1について成り立ち、かつ、ある自然数について成立することが言えればその次の数に対しても成り立つならば、その命題は全自然数について成り立つ。第5番の公理が教学的帰納法の公理である。ペアノの公理についての解説は、例えば、彌永昌吉:『数の体系』(岩波書店、1972)参照。
〔4〕S.レム:「ソラリスの陽のもとに」;『世界SF全集 23』(飯田規和訳、早川書房、1968)に収録。
〔5〕松田卓也:「人間は宇宙の中心か」;佐藤文隆編:『宇宙論と統一理論の展開』(岩波書店、1987)に収録
〔6〕前掲書〔5〕の第III部、特に佐藤勝彦氏の論文参照。
〔7〕次元のコンパクト化に関する原論文は、E.Cremmer and J.Scherk,Nucl.Phys.B108(1976)409だが、専門家以外には、次の論文がわかりやすいだろう。D.Z.フリードマン/P.パン・ニューべンホイゼン:「時空の隠れた次元」サイエンス 1985年5月号30ページ。
〔8〕原子構造などが安定に保たれるのは量子条件によるため、古典的な場の理論では(特殊な境界条件を設定すれば現れる散逸構造のような例外を別にして)秩序を形成できないことは明らかである。また、長さの次元量をもたない理論については、C節で一般論を展開する。
〔9〕脳で行われれる情報処理の一般論については、塚原仲晃編:『脳の情報処理』(朝倉書店、1984)、P.H.リンゼイ/D.A.ノーマン:『情報処理心理学 I〜III』(中溝幸夫・他訳、サイエンス社、l983)などを参照のこと。
〔10〕異種感覚連合的な言語概念は、人間以外の霊長目にも存在し、訓練すれば事物と属性を結びつける概念連合の表現も可能となる。従って、言語概念に基づく認識は、高等生物における基本的方略であると推定される。ロワイヨ―モン人間科学研究センター:『基礎人間学』(荒川幾男・他訳、平凡社、1979)第1章「猿との対話」参照。
〔11〕L.A.クーパー/R.N.シェパード:「イメージ上の物体の回転』、サイエンス1985年2月号34ページ。なお、本文中で謂う所の《オプジェクト》とは、取り扱い法を付記したデータの集合を意味するもので、情報科学の用語法を借用している。
〔12〕P.R.コーエン/E.A.ファイゲンパウム編:『人工知能ハンドブック第III巻』(田中幸吉・淵一博監訳、共立出版、1984)第XIII章
〔13〕田中啓治:「視覚系の情報処理』;『脳の情報処理』(塚原仲晃編、朝倉書店、1984)に収録
〔14〕こうした神経機構は、パーセプトロンを初めとすると種々の神経回路モデルを使って研究きれている。中野馨:「学習の工学的理論」;『神経科学講座第4巻 記憶と学習』(渡辺格・他編、理工学社、1978)に収録。パーセプトロンは応用性には乏しいが、局所的な変更に敏感な性質(図形の単連結性など)に対しては、どのように学習を重ねても巨視的に把握できるようにはならないという人間の認知能力が持つ特性をよく再現しておリ、知覚情報処理の初歩的なモデルとして有効である。
〔15〕外山敬介:「視覚と認識」;『脳科学の展開 上』(伊藤正男・塚原仲晃編、平凡社、1985)に収録
〔16〕具体的に言えば、両眼から等距離にある物体が近づくときは、それぞれの網膜に映じる像が共に中央から離れるように運動するので、この差を調べることによって運動の向きが判明する。ただし、両眼視差によって接近していると推定きれるにもかかわらず、物体の大きさが変化して見えない場合は、両眼視差による情報の確実性が減殺されることになるので、興奮のレベルを低下きせて調節している。
〔17〕酒田英夫:「頭頂連合野と空間認知」;前掲書〔15〕に収録
〔18〕川口三郎:「脳の可塑性」;『脳科学の新しい展開』(伊藤正男・酒田英夫編、岩波書店、1986)に収録
〔19〕こうした認識がどのようなものかを知るのに参考になる例として、半側無視と呼ばれる症状がある。この病症を示す患者は、空間の左右いずれか半分の情報が認識の中に統合されず、意識の中に立ち現れない状態になる。具体的には、ひげを片側だけ剃ったり衣服の片袖しか腕を通きをかったりする。ここで重要なのは、患者がこうした症状を自覚せず、あたかも空間の半分が存在しないかのように振舞うことである。逆に考えれば、健常者では空間情報が羅列的に存在しているように見えるが、実は、認識の契機を孕みつつ提示されるのである。久保浩一:「半側身体失認』;『精神科MOOK 失語・失行・失認』(島園安雄・保崎秀夫編、金原出版、1978)に収録。
〔20〕藤沢肇:「網膜視蓋投射系の形成」;『脳科学の展開 下』(伊藤正男。塚原仲晃編、平凡社、1985)に収録
〔21〕神経心理学という比較的新しい学問の一般論を理解するには、次の書物が最適だろう。A.P.ルリヤ:『神経心理学の基礎』{保崎秀夫監修、鹿島晴夫訳、医学書院、1978)。〔22〕浜中淑彦:「視覚対象の失認」;前掲書〔19〕に収録
〔23〕H.エカアン/M.アルパート:『神経心理学 上』(安田一郎訳、青土社、1983)369ページ。
〔24〕J.Piaget and B.Inhelder:"THE CHILD'S CONCEPTION OF SPACE," (translated by F.J.Langton and J.L.Lunzer, Norton Library,1967)
〔25〕鳥居修晃:「視知覚の発生と成立』;『現代基礎心理学3 知覚II――認知過程』(鳥居 修晃編、東京大学出版会、1982)に収録。例えば、HHという患者の場合、手術後92日目の検査では、三角形や円をど、3種類の2次元図形を識別しているが、立体図形は「あることはわかるが、何だかわからない」と報告している。ただし、患者の予後は術前の病状に応じて多様であるので、一般論は必ずしも通用しない。
〔26〕C.M.Will : "The Confrontation between Gravitation Theory and Experiment,' in "GENERAL RELATIVITY, An Einstein Centenary Survey," (edited by S.W.Hawking and W.Israel, Cambridge University Press, 1979)

©Nobuo YOSHIDA